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8月のびぃあらいぶぷらす

あなたの“お金の悩み”
相談にのります
8月
増やしたいパートの収入。
年収はやっぱり100万円に
おさえるべき?

今月の相談

「税金の壁」をきちんと知って、パートの収入を増やしたいです。

小学生の子どもふたりを持つパートタイマーです。夫の会社の家族手当がなくなることが決まり、今の収入を維持するために私のパートでの収入を増やそうと考えています。気になるのは、そうなると年収が100万円を超えてしまうこと。よくいう「税金の壁」だと思うのですが、実際に超えた場合の影響がよく分かりません。超えても問題はないものでしょうか。
●相談者
35歳/女性/パート勤務 家族構成…夫、子どもふたり(小学生)

今月のポイント!

  • 収入と所得のちがいを知ろう
  • 所得税の非課税は「年収103万円」まで
  • 「税金の壁」を超えても手取りがグッと減ることはない

回答

【 相談者 】 
パートを増やすときに気をつけることはなんですか?

【八ツ井さん】 
まずは税金の基本的な仕組みを押さえましょう。

働くと避けられないのが、「税金」と「社会保険」です。今回は税金に絞って、その基本的な仕組みをみていきましょう。

税金の知っておきたい基本は、
①暦の1年(1月1日~12月31日)で、「所得」をカウント
②税金は、“利益”に対して課税
③個人が納める税金は、所得税と住民税の2つ

ポイント①1月1日~12月31日までの「所得」に課税される
「暦年課税」といって、税金は暦の1年で所得を計算します。例えば「1年間働いた」といっても、それが年をまたぐと、税金の計算上では2年分の所得が発生することになります。

ポイント②税金の計算上、「収入」と「所得」はまったく異なる
1年間の「収入」から、税金を計算するために「所得」を計算していきます。
ここが少しややこしいところです。ざっくりいうと、税金は“利益”にかかる仕組みです。つまり、「収入」とは入ってくる金額そのもの(パートや会社員でいうと「年収」に相当)を指し、そこからその収入を得るためにかかった「必要経費」を差し引いたものが、「所得」です。
 収入 - 必要経費 = 所得

例えば、学資保険の満期金を受け取った場合、収入にあたるのは「満期学資金」の額で、必要経費にあたるのは、それまでに支払った「保険料総額」となります。その差額が“利益”となり、課税の対象となるわけです。

では、パートや会社員の必要経費は何かというと、“みなし必要経費”として「給与所得控除」を差し引くことができます。したがって、
 給与収入(年収) - 給与所得控除(みなし必要経費) = 給与所得  となります。

【 相談者 】 
他に差し引かれるものはありますか?

【八ツ井さん】 
「所得控除」というものがあります。

もう一つ、差し引けるものがあります。
その人の属性を考慮し、税金をお安くしましょう、という「所得控除」です。

所得控除は、現在15種類あります。すべてを所得から差し引けるわけではありません。例えば、誰でも適用される「基礎控除」、所得の少ない配偶者を養っていると適用される「配偶者控除」「配偶者特別控除」、生命保険に加入していると「生命保険料控除」、1年間に多く医療費がかかった場合の「医療費控除」などです。聞いたことがあるものもあるでしょう。

したがって、先ほどの計算の続きは以下のようになります。
 給与所得 - 所得控除(15種類のうち、適用されるもののみ) = 課税所得

ここまでご理解できれば、なぜ年収を100万円程度におさえることを気にしてしまうのか、その理由も見えてきます。給与所得控除と基礎控除のそれぞれの最低額を足し合わせると、
 給与所得控除55万円 + 基礎控除48万円 = 103万円 となり、
年収103万円までは、税金(所得税)は誰でも非課税の範囲内に収まるため、結果的に課税されない、ということになるのです。

(所得税の計算についての参照:財務省「給与所得者の所得税額計算のフローチャート」)

【 相談者 】 
「103万円」を超えなければよいですか?

【八ツ井さん】 
「住民税」「社会保険」のこともお忘れなく。

ポイント③税金には所得税と住民税の2つがある
この「103万円の壁」は、厳密にいうと「所得税の壁」で、もう一つ住民税があります。所得税と住民税は、ほとんど計算方法は同じなのですが、少々異なります。結論からいいますと、住民税の壁は年収100万円です。税率も異なります。所得税は累進課税といって、所得が多くなるほど高い税率(5~45%)が段階的に適用される一方で、住民税は一律10%です。

例えば、年収110万円(社会保険の適用がない場合)では、所得税3,500円、住民税16,000円ほどになり(復興税は考慮せず)、手取り収入は108万500円となります。この差額をどう捉えるかで、年収100万円以内に抑えるかを考えるご参考になればと思います。「税金の壁」を超えて課税されても、手取り収入は確実に増えたといえるわけです。ただし、「社会保険の壁」は超えていない点にくれぐれも留意してください。
また、夫の会社から家族手当等が支給されていて、妻の所得に制限がある場合、妻の所得が増えることで手当がなくなることもありますので、あわせてご留意ください。

このように、税金は“利益”に対してかかるという性格上、手取りがグッと減ることは起こりません。どちらかというと社会保険の方が影響は大きいです。次回は社会保険の基本をお話いたします。こちらもぜひご参考にほしいなと思います。


【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん

生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。

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