パルシステムの健康・おうえんナビ

11月のびぃあらいぶぷらす

あなたの“お金の悩み”
相談にのります
11月
パートで働くときは、夫の扶養の
範囲内にした方がよいですか?

今月の相談

パート勤めをする際の、「扶養の範囲」の注意点や考え方を教えてください

子どもが中学生になったのでパートで働き始めましたが、夫の扶養の範囲内で働くべきか悩んでいます。といいつつ、扶養の範囲を超えて働いた場合、どのような影響があるのかもよく分かっていません。結婚前はフルタイムで働いていたので、こういった悩みはありませんでした。フルタイムのときと比べると、どうしても収入が少なく感じ、これから教育費もかかることを思うと、扶養を気にせず働いてみたい気はしています。
●相談者
41歳/女性/パート勤務 家族構成…夫(45歳・会社員)、娘(中学1年生)

今月のポイント!

  • 「税金の壁」と「社会保険の壁」。気にしたいのは「社会保険の壁」
  • 「社会保険の壁」には106万円と130万円の2パターンある
  • 勤め先の「社会保険の壁」がどちらか確認しつつ、+αの要素も加味して判断を

回答

いわゆる「壁」には2種類ある

いわゆる「壁」を超えて働くのがいいか、というご質問ですね。
ただ、ひと口に「壁」といっても、「壁」には2種類ある点に留意しましょう。「税金の壁」と「社会保険の壁」です。

今回の相談者が気にされているのは、おそらく手取り収入への影響でしょう。実際、「税金の壁」を気にして働く時間を調整する方が多いですが、手取り収入という点でいうと、むしろ気にしたいのは「社会保険の壁」です。
影響の出る順番でいうと、税金の壁が先で、後から社会保険の壁がやってきます。

まず、「税金の壁」。細かく分けると「所得税の壁」と「住民税の壁」の2種類があります。
年収100万円が住民税の壁、103万円が所得税の壁で、それぞれの「壁(額)」を超えると、超えた分に対して課税されることになります。ここでは、「超えた分に対し」というのがポイント。つまり、税金の壁を超えて働いても、基本的に手取り収入は増え続けるわけです(ただし、増える“ペース”は鈍化します)。

「社会保険の壁」の設定に要注意

それよりも気にかけたいのが「社会保険の壁」です。社会保険は「税金の壁」と違って「収入の額面」をベースに料率を掛けて計算されるため、適用されると、年収(額面)は増えているのに、手取り収入は増えない、という現象が起こります。
フルタイムで働いていたころは、「社会保険の壁」をはるかに超える年収だったのでしょう。だから、壁の存在そのものが気にならなかったのだと思います(会社員の夫も同じですね)。

ここで厄介なのは、「社会保険の壁」には2パターンあることです。
キッカケは2016年10月の改正です。従来、“壁”は130万円の一律でしたが、改正後は要件を満たす大企業(注1)に関しては、新しく「106万円の壁」が誕生しました。さらに今後、2段階に渡る改正が予定されていて、より小規模な企業(注2)にも106万円の壁が適用されることになっています。

自分の勤め先の「壁」に合わせて

相談者の勤務先がどちらに該当するか分かりませんが、106万円が該当する企業であれば、税金の壁と近いので、思い切って多く働いていいかもしれません。ちなみに、手取り収入が“元に戻る”水準はおおよそ125万円です。
130万円が壁の企業なら、まずは「税金の壁」を気にせず年収130万円までを目指し、それ以降はおおよそ155万円(手取り収入が元に戻る水準)を超えるかどうかでご判断されてはいかがでしょうか(注3)。

ただ、多く働くかどうかはお金だけではなく、やりがいやご自身のキャリアデザインなども併せて検討されるのが、よりいいのかなと思います。


(注1)
【2016年10月の改正】
以下の要件をすべて満たす短時間労働者が対象

  • 1週間あたりの決まった労働時間が20時間以上
  • 1か月あたりの決まった賃金が88,000円以上であること(残業代、賞与、通勤手当等除く)
  • 雇用期間の見込が1年以上であること
  • 学生でないこと
  • 従業員数が501人以上の会社であること(2017年4月以降、500人以下の会社でも、社会保険加入について労使の合意がなされている場合、適用拡大)

(注2)
【2022年10月の改正】

  • (変更前)雇用期間の見込が1年以上
    (変更後)雇用期間の見込が2か月超
  • (変更前)従業員数501人以上の会社
    (変更後)従業員数101人以上の会社
  • その他の条件は変更なし

【2024年10月の改正(予定)】

  • (変更前)従業員数101人以上
    (変更後)従業員数50人超
  • その他の条件は変更なし

(注3)
妻の所得水準によって夫の税金額が変わるため(「配偶者特別控除」の影響)、より厳密には妻の手取り収入だけではなく、夫の手取り収入減も考慮するのが理想です。


【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん

生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。

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