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5月のびぃあらいぶぷらす
「ねんきん定期便」を見て、老後が心配になりました。
将来の年金が気になり、自分の「ねんきん定期便」をじっくり見てみました。ですが、どこをどう見ていいのかわかりません。ただ、将来の年金額があまりに少額で愕然としました。夫の分と合わせても、とても生活できません。何年も先のこととはいえ、老後が不安になりました。まずは制度をよく知っておきたいと思うのですが、ねんきん定期便の見るポイントがあれば教えてください。
●相談者
38歳/女性/会社勤務 家族構成…夫(39歳)
- 50歳未満の場合は、“その時点”での年金額が書かれている
- 封書の「ねんきん定期便」が届いたときは、詳しく確認を
- 少しでもおかいしと感じたら近くの年金事務所へ
【 相談者 】
「ねんきん定期便の専門用語が難しいです……」
【八ツ井さん】
見ておきたいポイント2つをご紹介。
「ねんきん定期便」(以下、「定期便」)は、日本年金機構から年金加入者全員に年に1度誕生月(1日生まれの場合は誕生月の前月)にお手元に届くよう送付されるもので、当人(被保険者)の加入状況が分かる情報が書かれています。とはいえ、専門用語も多く、「何だかよくわからない」という印象をもっても無理もありません。今回は定期便を見るポイントを2つ押さえておきましょう。
ポイント①「50歳未満」と「50歳以上」で、老齢年金を試算する条件が異なる
ポイント②節目の年齢(35歳、45歳、59歳)では、より詳しい定期便(封書)が送付される
【 相談者 】
「年金額が低くて、これでは生活できません」
【八ツ井さん】
「50歳未満」では、将来の「老齢年金」の試算ではなく、現時点での年金額です。
まず押さえておきたいのは、定期便のフォーマットが「50歳未満」と「50歳以上」で異なる点です。とくに大きいのは、年金額の試算部分です。この違いを理解するには、将来の年金額である「老齢年金」がどのように計算されるかを知っておくことが役立ちます。
ざっくりいうと、老齢年金は年金の「加入期間」と「給与水準」によって決まります。より厳密にいうならば、この2つで決定されるのは厚生年金部分で、国民年金部分は「加入期間」によって計算されます。
この点を踏まえ、フォーマットの違いを整理すると、
50歳未満:定期便作成時点までの「加入期間」と「給与水準」によって、その時点の老齢年金を試算
50歳以上:定期便作成時以降も加入すると仮定して、将来の老齢年金を試算
つまり、30代のご相談者が確認した老齢年金は、あくまで“これまで”の加入期間で計算した年金額です。お若いため「加入期間」が短く、「給与水準」も(年長者と比べて)低い傾向があり、結果として老齢年金が少額に算出されます。配偶者も同様です。思い切って言えば、現時点ではそれほど気にされなくていいでしょう。
【 相談者 】
「定期便が届いたときには何を見たらよいですか?」
【八ツ井さん】
「加入期間」が正しいかどうかのチェックを。
「節目の年齢」とされる35歳、45歳、59歳に送付される定期便は封書となり、通常(ハガキ)よりも詳しい年金の加入状況が記載されています。このとき気にしたいのは、ご自身の情報が正しいかどうかです。
定期便が発送されるようになったキッカケは、2007年に起きた「浮いた年金問題」でした。老齢年金を決定するには、各人の「加入期間」や「給与水準」といった情報管理は欠かせません。ところが、その情報管理が非常にずさんであったことが判明し、きちんと年金保険料を納めていたにもかかわらず、さまざまな要因で相応した年金が支給されない可能性があることが発覚し、社会問題となりました。実際、多くの方の情報修正が行われました。
結局、政府主導のチェックは限界があるので、加入者全員に毎年定期便を発送し、個々で確認を促しているのが現状です。
「確認」が必要とはいえ、定期便を読み込むのも容易ではありません。特に封書の定期便は情報量も非常に多いので、きちんと精査するには積極的に年金事務所に問い合わせることをお勧めします。
ここでは、ハガキの定期便でも比較的簡単にできる「加入期間」のチェック方法をご紹介しましょう。
定期便には、必ず「これまでの年金加入期間」が月単位で、かつ年金制度別に記載されています。それらの合計月数が、20歳から定期便作成までの月数と合っていれば、少なくとも滞納とされる期間は、情報管理上ないことがわかります(未成年で会社勤めを開始された方は、入社時からの月数合計)。「未納」申請している場合は、未納月数との合計は「受給資格期間」欄に記載されます。
情報に間違いが起こりやすい例には、転職経験、名字の変更等がある方です。月数がまちがっている場合はもちろん、もし少しでも違和感があれば、お近くの年金事務所で確認してみてください。
厚生労働省が試験的に提供している「公的年金シミュレーター」では、何歳まで働くか、何歳から年金を受給するかなどを入力して、年金額を試算することができます。少したいへんですが、気になる方はトライしてみるのもいいと思います。
(参照:https://nenkin-shisan.mhlw.go.jp/)
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。
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