パルシステムの健康・おうえんナビ

10月のびぃあらいぶぷらす

あなたの“お金の悩み”
相談にのります
10月
年金暮らしのコツを
教えてください

今月の相談

収入が年金だけになったときの生活が不安です

来年春、夫が60歳で定年退職を迎えます。その後、嘱託で65歳までは勤める予定ですが、給与はかなり下がるようです。65歳からは老齢年金の支給が開始するので、夫にはそれまで何とか働いてもらいたいと考えています。
会社としては、希望すれば70歳まで働けるようですが、夫は働きたくないようです(私もパートはあまり長く勤めたくありません)。そうなると年金しか収入がなくなってしまうので、それがいまから不安です。
いまから準備できることや、年金生活でのコツがあれば教えてください。
●相談者
56歳/女性/パート勤務 家族構成…夫(59歳・会社員)、子どもは独立済み

今月のポイント!

  • 退職金見込み額、金融資産総額、年金見込み額を把握しておきましょう
  • 年金生活になったら「一生涯費目」のムダを極力なくすのがコツ
  • いまはていねいに現状把握しつつ、時代の流れに対応できる心のゆとりを

回答

まずは60歳時の貯蓄総額を試算

60歳を定年退職の年齢としている企業は現在も多いですが、超長寿化の流れや高齢者が継続的に働けるよう法改正が重なり、相談者のように60歳以降も働く方(働く意志のある方)が非常に増えています。

「お金」は、モノやサービスと「交換」するための道具です。つまり、使ってこそ、その本来の意味合いを発揮します。大事なのは、どう使うか。不安が先立つと、どうしても「どう使わないか(節約)」と考えがちですが、それでは気持ちまで縮こまってしまわないでしょうか。そこでお勧めしたいのは、ご自身の年金生活を“想像”して、“創造”することです。

まずは「現状把握」から。相談者の年齢であれば、退職金の見込み額は分かると思うので、勤続年数を考慮した手取り額を確認しましょう。そこに現在の金融資産総額(すでに使う予定があれば差し引いておく)と来年春までに貯められそうな額を足し合わせれば、60歳時の貯蓄総額が見えてきます。
その後、年金開始までの5年間、日々の生活費をカバーできるだけの収入があれば、60歳時の貯蓄総額はそのまま65歳時の貯蓄総額と考えられます。もちろん生活費を上回る収入があれば、さらなる貯蓄形成をすることもできるでしょう。

老齢年金の見込み額も把握を

もうひとつ把握しておきたいのは、老齢年金の見込み額です。これは毎年送付されてくる「ねんきん定期便」で確認できます。ただし、記載されているのはあくまで額面。こちらも手取りベースで把握を。非常にざっくりですが、20代から厚生年金に加入している夫の分は、15%カット程度に見積もっておくといいかなと思います。
ちなみに、年金は夫婦分把握したいところです。詳しくは話が込み入ってしまうので、ここでは割愛させていただきますこと、ご容赦ください。

これで65歳時の年金と貯蓄総額の把握できたとしましょう。
ここで毎月の生活費が分かれば、どのくらい貯蓄を取り崩して生活できるかが見えてきます。あるいは、こうも考えられます。どのくらいの生活費で生活できれば、貯蓄総額を長く保つことができるか、です。さきほど触れた“想像”部分です。

把握できた内容をもとに老後の生活を想像

ここまでで把握できた年金と貯蓄総額で、どのような老後の生活が描けそうか想像してみましょう。すると、一生涯に渡ってかかる費目(一生涯費目)が家計に与えるインパクトが大きいことに気づくでしょう。住居費や水道光熱費、食費、通信費。趣味や娯楽費などもあるかもしれません。
年金生活のコツをひとつ挙げるとしたら、「一生涯費目」でのムダを極力なくし、上手に扱うことでしょうか。月々の効果は少額であっても、長生きするほどその総額は侮れなくなります。月5,000円でも40年あれば240万円にもなるのです。

いま、時代の変化は非常に大きく、かつ早いです。新型コロナウイルスのパンデミック以前の生活にはもう戻れませんし、今後も家計の常識が変わっておかしくありません。
老後の生活に不安を抱える方は多いと思いますが、個人的には公的年金制度もいずれ大きな改革を必要とすると考えています。ですから、現時点では現状把握をていねいに行いつつ、かといって硬直的になりすぎもせず、いい意味で柔軟に、時代の流れに応じて対応できる心のゆとりも同時に持ち合わせて、これまでの想像やコツを足がかりに、年金でのくらし方を“創造”していけるといいかなと思います。


【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん

生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。

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