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12月のびぃあらいぶぷらす
どうやって確定拠出年金の商品を選んでよいのかわかりません。
勤務先で確定拠出年金が導入され、退職金の一部を自分で運用する必要があると説明を受けました。資産運用の経験はありませんが、説明会を通して、リスク度合いに応じて期待できるリターンが異なること(ローリスクローリターン、ハイリスクハイリターン)は分かってきました。ただ、理屈は分かっても、実際どのように商品を選んでいいのかよくわかりません。運用商品選びのコツなどがあれば教えてください。
●相談者
38歳/男性/会社勤務 家族構成…妻、子2人
- 運用リスクを負うのは「従業員本人」
- 退職後の生活を考慮しよう
- コントロールできるのは「リスク」
【 相談者 】
「確定拠出年金(企業型)」とはどんな制度ですか?
【八ツ井さん】
積立運用のリスクを従業員本人が負う制度です
退職金制度は企業ごとに異なりますが、最近の傾向として、「確定拠出年金(企業型)」を導入する企業が非常に増えています。確定拠出年金の大きな特徴は、運用リスクを従業員本人が負う点にあります。
退職金制度があると、従業員としては退職時にまとまった資金を受け取れ、非常にありがたい一方で、企業側からすると、各従業員の退職時に備え、規定に基づいて常に積立てを行う必要があります。こうした積立金はただ置いておくのではなく、何らか運用を行っています。
運用がうまくいけばいいのですが、そうでなければ、企業は他から資金を用立てしなくてはなりません。つまり、従来の制度では、退職金積立の運用リスクは企業が負っているわけです。
ところが、低金利が世界的に、かつ長期的に続く中、企業が運用リスクを負うことが徐々に負担となっていき、運用リスクを従業員本人が負う「確定拠出年金」の導入が進んでいきました。ただし、多くの企業では、従来の制度を残しつつ、一部を確定拠出年金制度に移管しているところが多いようです。
【 相談者 】
運用する上で気をつけるポイントはなんでしょうか?
【八ツ井さん】
制度の大前提となるポイントを押さえましょう
運用リスクを自ら負う確定拠出年金では、自分の積立金(掛け金)の運用先商品も自ら選択することになります。選択の際、抑押さえておきたい制度の大前提となるポイントは、
- 退職金のための積み立てである点
- 途中で引き出すことはできない点
(転職する場合、転職先企業で確定拠出年金制度を導入していれば、転職後も継続的に積立運用が可能) - 運用成績によって、将来の受取額(退職金)が変動する点
こうしたポイントを踏まえると、どの程度のリスクを取れるかどうかが、商品選びでもっとも大事なのではないかと思います。確定拠出年金での運用期間は、加入時の年齢にもよりますが、今回の相談者の場合のように若い年齢で始める場合は、必然的に長期運用となります。基本的な考え方として、運用期間が長期になるほどリスクを取りやすくなります。
とはいえ、運用の目的は退職後の生活を支える大切な資産形成でもあります。となれば、むやみに大きなリスクを取るのも考えものです。また、ご自身の運用経験も十分に考慮する必要があります。さらにはその時々の経済環境といった時期的な問題も含め、自分が取れるリスク度合いをじっくり検討することが非常に重要です。
【 相談者 】
商品を選ぶときにはどのように考えたらよいのですか?
【八ツ井さん】
自分が取れる「リスク」の程度から商品を選択しましょう
加えて大事なことは、リターンから商品を選ばない点です。リスクはコントロールできますが(商品選びや掛け金の額を変動させることで)、リターンはコントロールできません。完全にマーケットしだいです。したがって、将来得たいと思うリターンからではなく、自分の取れるリスク度合いから商品を選ぶようにするといいでしょう。
ただし、リスクはコントロールできるといっても、「不確実性」はコントロールも計算もできません。不確実性とは、例えば突然の世界紛争や自然災害、政治の混乱、要人の発言などが挙げられます。最近ではパンデミックも想定外の出来事だったといえるでしょう。つまり、資産運用の世界に「絶対」はないということを肝に銘じておきましょう。くれぐれもリスクの取りすぎには注意して、自分の性格(リスク許容度)に合った商品選びを心掛けてほしいと思います。
確定拠出年金では、途中の運用商品の入れ替え(スイッチング)も可能です。一度選択したら、それで(よくもわるくも)終わりではありません。運用しっぱなしにすることなく、経済情勢やご自身の考え方、人生設計などの変化があれば、適宜タイミングをみて、必要に応じてメンテナンスを行うことも意識しておくといいでしょう。
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。
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