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パルシステムの健康・おうえんナビ
10月のびぃあらいぶぷらす
高校生の息子が学校で資産運用の効果を学び、私も関心を持ちました。
銀行預金ではなかなか増えず、周りのお母さんたちが資産運用をはじめて、実際に殖えていると聞きます。高校生の息子も学校で資産運用について学んできたようで、「うちはやっているの?」と聞かれました。私も始めてみようかと思うものの、まったく何も分かりません。どんなことに気を付けたらよいか心構えを教えてください。よろしくお願いいたします。
●相談者
50歳/女性/パート勤務 家族構成…夫、子
- 銀行預金は「無リスク」だが、ほぼ増えない
- 変化が大きく、難しい時代であることを意識しよう
- 大切なのは損をしないこと
【 相談者 】
銀行に預けているだけでいいのでしょうか?
【八ツ井さん】
普通預金は「無リスク」の半面、資産を殖やすのには向きません
第一にお伝えしたいのは、資産運用の「結果」は、常に「未確定」ということです。そのため、資産運用の世界では、「(運用)利率」を約束する表現は使われず、「期待値」と表現されます。これは、過去の実績から将来をどう「期待」できるか、という予測値(平均値)を意味します。
「銀行預金ではなかなか増えない」という言葉をよく聞きますが、まさにここにポイントがあります。いまや多くの金融機関での普通預金金利は0.001%です。100万円を預けて、1年後にようやく8円の利息となる水準です。こうも試算もできます。年間1万円の利息を得たいと思ったら、12億5,000万円もの元本が必要なのです(※復興特別所得税は考慮していません)。
かつては、普通預金金利が5%という時代もありました。このときであれば、100万円預ければ1年後には4万円の利息です。いかにいまが低金利時代なのかが分かります。5000分の1にまで下がった、ということです。銀行預金は、「無リスク」といって、いくら預けたら、将来にいくらになるかが決まっている金融商品の代表格です。無リスク=確実、といったところです。
【 相談者 】
リスクがあっても資産運用をした方がよいでしょうか?
【八ツ井さん】
難しい時代なのは確かです
リスクのある金融商品に預ける(投資する)となると、殖えることもあれば、減ることもある「変動」する世界に一変します。投資資金が将来いくらになるのかは、「確実」ではないわけです。どう変動するのかは、フタを開けてみないと分かりません。そこで、過去の様々なリスクを考慮して計算された値が「期待値」です。
ただし、あくまで過去は過去。例えば、「観測史上初」とか、「100年に1度の〇〇」とか、近頃ではよく目にするフレーズではないでしょうか。金融市場含め、世界的に様々な場面で、いま変化の大きい時代になってきている表れなのだと思います。金利の高い時代であれば、比較的儲けやすかった時代でしたが、いまや世界的に、かつ長期的な低金利時代です。そこでは個人の資産運用は難しくなっている時代といっていいでしょう。そのような環境下で資産運用を始めるんだ、という意識を持ちつつ、心得ておきたいポイントを以下に3つ挙げてみました。
①「リスク」はコントロールできるが、「不確実性」はコントロールできない
②資産運用は余裕資金で
③損小利大
【 相談者 】
それぞれのポイントについて教えてください
【八ツ井さん】
一番大切なのは「損をしないこと」
①「リスク」は計算できますが、「不確実性」は計算できません。「不確実性」というのは、突発的な戦争・紛争や政権交代、自然災害などです。大手金融機関・大手企業の破たんなども含まれるでしょう。こうした現象に伴って相場は動かされます。
②投資資金が殖える保証はありません。したがって、かりに投資資金が大きく減ってしまったとしても、今後の生活に影響を及ぼさない「余裕資金」で資産運用するようにしましょう。
③「損小利大」とは、字のごとく、損は小さく、利益は大きくです。かりに勝率が9勝1敗でも、その1敗が大きければ、9勝で得た利益がすべて吹き飛んでしまう、なんてことは珍しくありません。例えば、2006年1月のライブドアショックや、2008年9月のリーマンショックなどです。
普段は起こらない、でもひとたび起こると非常に大きなショックとなり、それまでの利益をすべて吹き飛ばしてしまうほどのインパクトがあります。いったん投資資金(元本)を大きく減らしてしまうと、元の金額に戻るまでに相当な利益を積み重ねないといけなくなってしまいます。個人投資家は、いったんマーケットから資金を引き上げることができるので、こうした大きなショックに見舞われないようにすることがとても大事です(言うは易し行うは難しですが…)。大きく損をしないこと、ぜひこのことを肝に銘じていてほしいなと思います。
私見ですが、いま経済環境は非常に芳しくないにもかかわらず、株価がかなり下げ留まっている印象があります。どこかのタイミングで大きく下げることもあるかもしれません。マーケットは逃げませんから、まずは資産運用についてお子さんとも一緒に学び、具体的な銘柄をチェックしながら、“心の口座”で始めてみてもいいと思います。そして、心から「始めてみたい!」と思った時に、実際にトライされてはいかがでしょうか。
大切なお金ですから、投資を始める際には、どうぞ慎重にご検討ください。お金を殖やすことも大事かもしれませんが、いかに減らさないかもとても大事です。
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。
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