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パルシステムの健康・おうえんナビ
2月のびぃあらいぶぷらす
遺産相続でもめないためのポイントを教えてください。
現在、実家で二世帯同居をしています。実家の名義は土地、建物ともに100%父親です。父も高齢なので、相続について考えはじめました。両親が亡くなった後も私はこのまま実家に住み続けたいと考えていますが、私には妹がひとりいます(妹はすでに結婚をして、実家とは離れた場所に持ち家で住んでいます)。
両親にいずれ介護などが発生した場合は、私と妻が面倒を見るつもりでいます。父は資産家というほどの財産はなく、自宅以外に不動産は所有していません。ただ、具体的な預貯金額は聞いていません。妹との仲は普通だと思いますが、将来的にもめないよう、いまから準備できることがあれば教えてください。
●相談者
45歳/男性/会社員 家族構成…妻、子。同居の両親(父・76歳、母・74歳)、別居の妹
- 生前に話し合う時間を作っておくこと
- 相続対策は完璧を求めないこと
- 家族仲良くするのがもっとも大切
感情のもつれが相続問題を複雑に
相続は、「争族」と揶揄されるように、ときに親族間の激しいもめごとに発展することも珍しくないため、ご心配もごもっともでしょう。
私は相続専門の家計コンサルタントではありませんが、それでもこれまでの相続に関するご相談の経験上思うのは、相続は経済的な問題のようで、その根っこにあるのは、親族間の感情のもつれだという点です。また、財産の持ち主である「被相続人」は亡くなっていますから、「死人に口なし」とはいったもので、相続の話し合いが堂々巡りになりやすいのも、もめごとが収まりにくいのだと思います。
相続でもめないために、私がおすすめしたいポイントが上で挙げた3点です。
お互いの意思を確認し合い、記録を取っておく
まずはご両親が元気なうちに時間を取り、ぜひみなさんで話し合いをしておくことをおすすめします。例えば、相続後も実家に住み続けたいという意思表示をしておくことや、その上で妹さんの意見などもうかがえれば、いまからできる対策もより具体的に見つかるかもしれません。その上で、かりにご両親の口から、金融資産は多めに妹さんに相続させるとの言葉を聞くことができれば、妹さんも納得しやすいのではないでしょうか。いずれにしても、話し合いの内容はどなたかが記録しておいて、各自が写しを持っておくとよいと思います。
そして相続対策には完璧を求めないようにしましょう。
相続対策にはざっくり2パターンあります。生前に行える対策と、相続後に行う対策です。もめないように、できるだけ生前に対策を打っておきたいものですが、どうしても読めないのは、亡くなるタイミング(=相続発生のタイミング)です。どれだけ対策を実行できたとしても、亡くなるまでに法改正されればそれまでです。ここ最近、相続関連の法改正が続いていますが、2023年も相続税制度の改正がなされます。もちろん法律だけでなく、対策を立てるタイミングと、相続発生時のタイミングでは不動産の評価額や各相続人の考えなどが変化している可能性もあります。したがって、相続対策には完璧を求めず、それよりも○○だけは避けたい、○○だけは行いたい、といった優先順位を意識されておくといいと思います。
最大のポイントは仲の良さ
もめないポイントはコレに限るといってもいいくらい、とても重要なポイントは、当然といえば当然なのですが、家族仲良くすることです。
普段仲が悪くなくても、いざ大きなお金(相続財産)がからんでくると、急に態度が変わる、なんてことも残念ながら少なくありません。普段から交流を持って意思疎通をはかるようにしたり、両親の状況をこまめに報告するなどといったことは非常に大切だと思います。
極端な話、事前に相続対策をいっさい行っていなかったとしても、相続人同士の仲が良いと、まったくもめることなく遺産分割が進むこともあるわけです。
さらに付け加えるとしたら、「欲張らない」ことも大切かもしれません。
いかがでしょうか。
「相続」は大切な家族が残してくれた財産を引き継ぐ行為ですから、それが元で家族が争うのではなく、有効に活用して、家族みんながそれぞれの人生をいかに豊かにしてくれるかを考えながら使うことができれば、亡くなった家族の思いも財産も、生かされるのではないかと思います。
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。