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1月のびぃあらいぶぷらす
新社会人です。厚生年金保険料が天引きされています。やめて、自分で積立はできないのでしょうか?
昨年4月から働き始め、給与や賞与から天引きされているものが多く、驚きました。老後は年金だけでは生活できないと政府は発言していたのに、厚生年金保険料を納めないといけないのかと思うと、何となく腑に落ちません。例えば、厚生年金から脱退して、天引きを止め、自分の責任で積み立てることはできるのでしょうか。それとも、やはり納め続けないといけないのでしょうか。
●相談者
23歳/女性/会社勤務 家族構成…両親
- 厚生年金保険料を納めるのは義務だが、受けられる権利もある
- 「老齢年金」の他に、「障害年金」「遺族年金」がある
- 従業員と同額の保険料を会社も納めている
【 相談者 】
「厚生年金」をやめることはできますか?
【八ツ井さん】
ご自身の任意でやめることはできません
残念ながら、いまの勤務形態である限り、ご自身の任意で厚生年金をやめることはできません。一定の条件を満たすと、強制加入となります。
日本の年金制度は「賦課年金」といって、自分が納めた保険料は将来に向けて積み立てられるのではなく、現在の年金受給者の支給に割り当てられます。「世代間扶養」といわれるのはそのためです。また、少子高齢化がますます進展している中、ご相談者のように、公的年金に対する国民不安は年々増している傾向にあります。特に若い方は老後までの期間も長いため、どうしても不安になってしまうのも無理はないかもしれません。ただし、社会保険のひとつである厚生年金保険は強制加入であり、個人の都合でやめたり、加入したりすることはできません。
保険料を納めることは義務ですが、一方で保障を受ける権利も発生します。公的年金ではどうしても「老齢年金」にばかり目がいきがちですが、もらえる年金の種類は、他に「障害年金」「遺族年金」があります。
【 相談者 】
「障害年金」「遺族年金」はどのくらいの期間、支払われるのですか?
【八ツ井さん】
所定の要件がありますが、場合によっては一生涯です
例えば、現役時代に何らかの事故で障害状態になってしまった場合、所定の期間に年金保険料を納めてあれば、障害状態に応じた障害年金が支給されます。障害状態が続く限り一生涯です。また、自身が亡くなった場合、生計を一にする遺族に、遺族年金が支給されます(所定の要件あり)。
原則としてもらえる年金種類は一つで、いずれかに該当した場合、こうした年金は生活を支える大切な収入源となります。仮に、これだけの保障を備えた「個人年金保険」が、民間の生命保険会社で取り扱われていたとしたら、相当に高額な保険料となるでしょう。一生涯支給される年金(終身年金)という特性だけでも、最近では、多くの生命保険会社で取り扱いが停止されているくらいです。
【 相談者 】
厚生年金がそんなに手厚いのはなぜですか?
【八ツ井さん】
天引きされている保険料に加え、それ以外でもまかなわれているからです
厚生年金保険は一般の金融商品ではないため、そもそも比較することはおかしいのですが、かりに任意で厚生年金をやめられたとしても、何か他の手段であてがうのも、なかなか難しいものなのです。
では、なぜ公的年金は一金融商品としてみた場合に、有利なものとなるのでしょうか。理由は、税金が投入されている点と、厚生年金の場合は企業も従業員と同額の保険料を納めているからです。つまり、私たちの納める保険料だけでまかなわれているわけではないためです。
ですが、今後も少子高齢化はますます進みます。公的年金制度が盤石な制度かといえば、決してそうでもありません。制度への不安から納得感が持てないのも、個人的には非常にうなずけます。
強制加入であるからこそ、制度への関心を高め、制度設計をして法律改正の立場にある政治に関心を持って、声をあげたり、ご自身の大切な選挙の1票をどこに(誰に)投じるのかが非常に大事ではないかと思います。ご自身ができる小さな一歩にどのようなことがあるのか、ぜひ考えるキッカケにしていただければと思います。
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。
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