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パルシステムの健康・おうえんナビ
6月のびぃあらいぶぷらす
これからの住宅ローンの返済方法について、夫と意見が分かれています
17年前(夫36歳時)、2,300万円の住宅ローンを35年返済で組みました。できるだけ長期で借りて返済額を落としつつ、定年に間に合うように繰り上げ返済もした方がいいと、当時勧められてそうしてきました。
貯蓄に余裕があるときに繰り上げ返済を行ってきたので、現在あまり貯蓄に余裕はありません。ですが、子供が独立したのと、ざっくりですが夫の退職金のメドもたってきたので、何とか定年までに完済できそうです。
ただ、これからも繰り上げ返済を定期的に行うのがいいのか、手元の現金をある程度は確保しておいた方がいいのか、夫婦で意見が分かれています。繰り上げ返済と現金貯蓄、どちらを優先したらいいでしょうか?
●相談者
52歳・女性(パート勤務) 家族構成/夫(会社員)、息子(独立済)
- 「繰り上げ返済」か「現金確保」か、どちらがよいかの正解はない
- 利息軽減効果をていねいにシミュレートして落としどころを見つける
- 不安要素への準備や対応について夫婦で話し合って、安心感をアップ
考え方をすり合わせるための判断材料を用意しましょう
相談者くらいの年代になると、“繰り上げ返済 VS 現金確保”で悩まれる方も少なくないようです。今回は、住宅ローンの詳細な条件が分かりませんので、「借り換え」は考えない前提とさせていただきたいと思います。(経験則で補足しますと、借り換え効果はあまり出なくなってきている頃合いかと推察されます)
ここでのポイントは、「正解はない」という点でしょう。ご夫妻で意見が合わないとのことですが、数学の計算のように「答え」があればいいのですが、それはないワケです。となれば、お互いの「考え方」をどうすり合わせていったらいいか、また、その際に判断材料となる繰り上げ返済効果をていねいにシミュレートする、といったところが大事になります。
シミュレーションサイトなどを活用して利息軽減効果の試算を
それぞれの主張をまとめると、
■繰り上げ返済派
利息軽減効果が大きくなる
■現金確保派
いざというときに使えるお金が手元にある安心感を得られる
夫に万一があれば、団体信用生命保険で残債は相殺される(もちろん確率は低い)
ここで計算して数字で確認できるのは「利息軽減効果」なので、住宅ローンのシミュレーションサイトなどを活用しながら、
① 今後、こまめに繰り上げ返済をしていくパターン
② 繰り上げ返済はせず、定年退職時に一括返済するパターン
の2パターンの利息軽減効果をシミュレートし、その差額を試算してみましょう。言ってみれば、その「差額」が夫婦間の“意見の差”なワケです。
差額を見て「この程度の効果なら一括返済でもいい」と思えれば、繰り上げ返済はやめて現金を確保するのもいいでしょう。しかし、これは絶対的な2択ではないので、①を複数のパターンでシミュレートし、繰り上げ返済の金額を落としつつ、夫婦の意見の間を取るのも一案です。
じっくり話し合って納得のいく返済プランを練り上げて
現金を確保することでの「安心感」に絶対的なものさしはないので、“いくらあったら安心”という金額はおそらくないでしょう。なので、いろんな「いざ」を想定し、その場合にどう準備・対処できそうかを検討してみてください。できるだけ具体的にイメージできるほど、不安の軽減につながると思いますので、じっくり夫婦間で話し合うことをおススメしたいと思います。“いい”も“わるい”もキリはないので、どこかで線引きすることも、どうかお忘れなく。
人の寿命は“神のみぞ知る”ことなので、団体信用生命保険の効果は何ともいえませんが、お互いが納得のいく返済プランを練り上げることで日々のストレスを軽減させ、笑顔で過ごすことによって寿命が延びるといいなと、個人的には思います。
【回答者プロフィール】
回答者/八ツ井 慶子さん
生活マネー相談室代表。家計コンサルタント(FP技能士1級)。
大学卒業後、信用金庫勤務を経て、2001年4月より「家計の見直し相談センター」の相談員としてFP活動を始める。13年7月に独立し、「生活マネー相談室」を設立。個人相談を中心に、講演、執筆、取材などの活動を展開。これまで1000世帯を超える相談実績をもつ。