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- “サイレントな臓器”卵巣のことを知る
卵巣のこと、じつは全然知らないかも……。
こんにちは、負けないカラダ調査隊(※)の康子です。後輩と久しぶりに会ったら、排卵痛でツライって話になったんだけれど、わたしはこれまでまったく意識したことがなかったのでビックリ。排卵時の痛みってことは、卵巣が原因ってことよね。でも、ちょっと待って。考えてみたら、わたし卵巣のことよく知らないかも。これはいけない! きちんと調べてみようと思います。
卵巣の病気は自覚症状が現れにくい
卵巣は自分でも自覚できない臓器のひとつで“サイレントな臓器”と呼ばれているんですって。卵巣は子宮の両側にある親指大の臓器で、赤ちゃんのもととなる卵子を育てたり、妊娠にも深く関係する2種類の女性ホルモン、エストロゲンとプロゲステロンを分泌したりと、女性にとってとても大切な臓器。
でも、腹部の奥にあるため、病気になっても自覚症状が現れにくいんですって。さらに、卵巣は腫瘍のできやすい臓器のひとつでもあるという情報も……。なかでも多いのが「卵巣のう腫」という病気。いったいどんな病気なんでしょう?
卵巣の腫瘍の約8割を占める「卵巣のう腫」とは?
卵巣の腫瘍、とくに「卵巣のう腫」について詳しくお話を聞くため、東京医科歯科大学准教授の尾林聡先生のもとを訪れました。「卵巣のう腫は、卵巣にできる腫瘍のうち約8割を占めます。そしてその9割が良性といわれています」と尾林先生。
先生のお話によると、卵巣のう腫は卵巣内に液体や脂肪がたまるもので、触るとやわらかく、その中身によって、以下のように何種類かに分けられるそうです。
- 漿液性のう腫(しゅうえきせいのうしゅ)
年齢を問わず卵巣のう腫のなかでもっとも多く見られるもの。卵巣から分泌される漿液という透明な液体がたまる。 - 粘液性のう腫
閉経後の女性に多く見られるゼラチン状の粘液がたまったタイプ。肥大しやすい。 - 皮様のう腫
20~30代に多く、歯や毛髪、脂肪といった組織が含まれた奇形の一種と考えられている。 - チョコレートのう腫
20~30代に多く、子宮内膜症が卵巣内に発症したもの。月経の際に出血した血液がたまる。
「卵巣の腫瘍は、初期の段階ではほとんど症状がありません。通常、卵巣は親指大ですが、それが腫大して初めて腹部膨満感や下腹部痛、頻尿などの症状が出てきます。ときには腫瘍の破裂や、腫瘍がお腹の中でねじれる茎捻転を生じ、強い下腹部痛が出現することもあります。治療はほとんどの場合、手術で腫瘍を摘出します。最近は腫瘍だけを摘出し、卵巣を温存することがほとんど。また、身体への負担が軽い腹腔鏡下手術が行なわれることも多くなってきました」
歯や毛髪ができることがあるなんて、ほんとうにビックリ! でも卵胞を育む卵巣は、それだけとても大切な臓器だということが分かりました。
卵巣の異常の早期の発見には超音波検査が大切
尾林先生からも繰り返し説明いただいたように、卵巣の病気は自覚症状が出にくいので、とにかく定期的な検診が必須ということを痛感しました。でも、ひとつとても大切なことを最後に先生が教えてくださいました。
「卵巣の検診は触診(内診)で行われるのが通常ですが、小さい腫瘍を見つけるのであれば腟からの超音波検査をお勧めします。人間ドッグや集団検診では、通常超音波検査はオプションになってしまいますが、子宮がん検診の際などに、超音波で卵巣も見てもらうといいでしょう。子宮筋腫などで子宮のみを摘出した方のなかには、子宮がん検診は受けずに、卵巣のう腫のために超音波を受けている人もいらっしゃいます」
命のもとを育む、わたしたち女性にとってとても大切な臓器の卵巣。女性に生まれた以上、これからは“無口な”卵巣の声に耳を傾けることを意識して、生活していきたいと思います。
【尾林先生の検診ワンポイントアドバイス】
子宮がん(特に体がん)検診を受診したほうがよい年齢はあるのでしょうか?
→子宮体がんは特にないと思いますが、子宮頸がんは20代後半からすすめられます。
また何年に1度受けるほうが良いのでしょうか?
→前回検査で異常がなければ1年毎、問題があればその程度によって半年~3ヵ月ごとかと思います。
費用はどの程度でしょうか?
→これは自費診療のため施設によってまちまちで数千円からになりますが、自治体の補助が出ることが多いので、その場合は数百円になります。
<監修>
東京医科歯科大学 周産・女性診療科(産科・婦人科学) 准教授 尾林 聡先生
中高年女性の健康管理を専門とする外来を設け、QOL を主眼とした治療を行い、DEXA法による骨量測定、ホルモン補充療法などを行っています。
(2014年3月12日掲載、“カラダ日和”より)
- ※負けないカラダ調査隊って??
パルシステム健康Web“カラダ日和”で活躍した“美にこだわる”麗子(れいこ)・“病気が心配な”康子(やすこ)・“日々の生活が大事な”環子(たまこ)の3人組のことです。カラダ日和では、3人それぞれが興味を持ったテーマについて調査し、調査結果をご報告してきました。
『パシスルテムの健康・家計おうえんナビ』では、「負けないカラダ調査隊」の調査結果から、人気があった記事を厳選して公開していきます。お楽しみに! - ※パルシステム健康Web“カラダ日和”は2016年3月31日をもちましてサービスを終了させていただきました。サービス終了に関するご案内はこちら