TPP(環太平洋連携協定)交渉の大筋合意に反対します

 TPP(環太平洋連携協定)交渉に参加する12カ国の政府は2015年10月5日(月)、交渉が大筋合意に達したことを表明しました。これを受け、パルシステム連合会ならびにパルシステム共済連は10月19日(月)、理事長の石田敦史から改めてその締結に強く反対する意見を表明し、参加撤退を求めます。声明文全文は以下の通りです。

2015年10月19日

内閣総理大臣 安倍 晋三 殿

パルシステム生活協同組合連合会
パルシステム共済生活協同組合連合会
代表理事 理事長  石田 敦史

TPP(環太平洋連携協定)交渉の大筋合意に反対し日本の参加撤退を求めます

 10月6日、環太平洋連携協定(TPP)交渉に参加する日本、アメリカなど12の国々が共同記者会見をおこない、「大筋合意に達した」と発表しました。政府から「環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)の概要」、「TPP農林水産物市場アクセス交渉の結果」が発表されましたが、これは、この間、国民が知らされてこなかった交渉の内容のごく一部に過ぎません。TPP交渉は、国民だけではなく、国会議員にすら情報がほとんど公開されないまま、交渉が進められてきました。とても民主的とは言えない交渉と合意を私たちは受けいれることはできません。

 政府は、「食料・農業・農村基本計画」で「自給力向上」を掲げていますが、大筋合意では、政府が国会で「守る」としていた米などの重要農林水産物5品目も関税を大幅に引き下げることとなっています。TPPは、関税の撤廃や地域経済・雇用、農業、医療・保健、食品の安全、知的財産権、環境保護など非常に多岐にわたる協定です。その一つ一つが国民の生活に深くかかわっており、特に日本の食料自給率、食の安全、国民の健康を支える国民皆保険制度が脅かされると言われています。またこの協定では、企業が国を訴えることができる「ISDS条項(投資家対国家の紛争解決)」も含まれています。
 戦後、木材の関税が撤廃・自由化され、当時94.5%であった日本の木材の自給率は、その後、約50年かけて18%にまで落ち込み、日本の林業は大きく衰退することとなりました。TPPについても、いますぐ大きな影響が出ないとしても、数十年先、私たちの子どもたち、その子どもたちに、安心してくらせる日本を手渡すことができなくなる可能性があります。また一方で、この協定により、私たち自身が、他の国の人々のくらしや子どもたちの将来を脅かすことになることを強く懸念しています。

 このような状況で、TPPについて署名・批准する事に対して私たちは改めて反対し、日本の参加撤退を求めます。また次の3点について政府に求めます。

  1. 「大筋合意」のすべての内容を、附属書、附属書簡、「調整中」の交換文書などを含めて、公開してください。
  2. 政府の説明と対話の場を誰もが参加できるように、期間を長く、回数を増やして全国に設けてください。業界団体だけではなく、希望する一般の国民に「大筋合意」の内容を誠実、正確に伝達し、国民からの意見聴取をおこなってください。
  3. TPPへの参加が、政府が「食料・農業・農村基本計画」で掲げた「自給力向上」政策、重要5品目などの聖域を確保するとした国会決議に違反していないことを明らかにしてください。

以  上

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